ototoeのブログ

ほぼ日記帳

第一部 第一章 白昼のダイモン

 

 

怠惰な者が神聖なる目的から身を引くということ、それは実際、彼がこの神聖なる目的を忘れていられるとか、望まないでいられるとかいうことを意味するのではない。…心理学の用語を使うなら怠惰なものの後退りとは、欲望の喪失を暴露しているのではなく、達成できないにもかかわらず、むしろその欲望の対象になろうとしているということなのである。対象を欲する意思の倒錯こそが、彼のものである。が、対象へと導く道は、彼のもとにはない。自己の欲望への道を、彼は欲すると同時に遮断しているのである。

 

『スタンツェ ー 西洋文化における言葉とイメージ』
著者 ジョルジョ・アガンベン
訳者 岡田温司